トランプが言わなくなった金(ゴールド)の監査。あまり知られていない金取引の仕組み。国民から金を巻き上げる時代が米でも日本でもあった。(2025年6月20日公開)
- chibamai
- 6月20日
- 読了時間: 5分
更新日:6月23日

金はこの数年、インフレ懸念や世界の中央銀行・投資家の買いで価格急騰してきました。現在イラン・イスラエルの実質的戦争でますます上昇しています。
トランプが今年1月に就任後宣伝したことの一つに、国の金保管場所であるフォート・ノックスをイーロン・マスクと訪れ、ちゃんと金があるのかチェックする(監査)する、という計画がありました。ところが最近全くその話は立ち消えになりました。その背景を著名アナリストのジム・リカーズが説明しています。
まず確認しますと、金に投資する場合、大きく分けて2つの方法があります。一つは、金の現物を専門店から購入して自己保管或いは多い場合委託保管すること。もう一つは金の投資ファンドやいわゆるペーパーゴールド(書類上だけの金、いろんなタイプ)を買うことです。
金投資ファンドについて。コーパイ↓
金投資ファンドでは、現物の金を直接購入することは一般的にできません。ファンドは金価格に連動する金融商品であり、金地金や金貨を保有するわけではなく、金先物やETFを通じて運用されます。
ただし、一部のファンドでは金現物を裏付け資産として保有するものもあります。例えば、金ETFの中には、実際に金地金を保管し、その価値に基づいて運用されるものがあります。
もし現物の金を直接購入したい場合は、貴金属店や証券会社を通じて金地金や金貨を購入するのが一般的です。
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ジムの説明によると、金ファンドやペーパーゴールド(以下PG)の仕組みは以下のようになります。
米では国が保有する金は財務省が管理している。現物はフォートノックスや他の軍施設に分けて厳重に保管。
一般の銀行や証券会社が金で儲ける仕組みはこうだ。彼らは財務省にリース料を払って、金をかりる。リース料は時価の1~2%だ。リースしても現物の金は動かず、証明書が作成されるだけ。それを元に、銀行証券は一般向けに金ファンドやPGを販売する。PGは金を所有せずに売買できる。金価格が上がったらファンドやPGを売却すれば儲かる。下がればそのまま保有する。ここまでは何の問題もない。
PGには、ETFや証書取引、債券などがある。

ファンドでは無理だがPGの場合、上の図のBさんのように現物を要求することは可能である。PGを保有する投資家1万人が銀行証券に押し寄せて現物要求したらどうなるか。その会社は現物を渡す準備がないだろうから(リースしているだけなので)、市場で例えば100キロの金を手当するはめとなる。PG販売開始から期間が経っているので、金価格が上昇している場合、高値で買い戻さなければいけない。その会社は大損してしまう。
業界のこういうデリケートな仕組みを、財務長官がトランプに教えたのではないか。今世間に金のことを宣伝すると、ますます価格が上がってしまう。
ジムの話は以上です。
今年1月、ロンドンの金取引所で現物が一時デリバリーされなくなり、世界的金不足が明るみに出ました。
インフレヘッジの金ですが、あまりPGや金ファンドが増殖すると、金そのものもインフレになってしまいます。そもそも紙の紙幣は、本来のマネーである金が重くて持ち歩くのが大変なために、証書として発行されたのが始まりでした(古くは古代中国、その後17世紀に欧州で)。18世紀の時点で既に、現物以上に証書が発行されていたのです。そのカラクリを利用してのし上がったのがロスチャイルド家でした。
さて、米でも日本でも、国民から金を巻き上げた時代がありました。
1934年にフランクリン・ルーズベルト大統領は「金準備法 Gold Reserve Act」を施行、米国民が個人で金を保有するのは法律違反となった。目的は金を政府が所有し大恐慌(1929開始)後の米経済を安定させるため。

国民は仕方なく保有する金を政府に供出してドルを受け取った。金を全て回収した後、大統領は金の価格を1オンス20.67ドルから35ドルに変更。一夜明けてドルの価値は41%下落した(金が上がるとドルの価値が下がる。そうなると海外から米の製品が買いやすくなる)
金準備法施行数十年経って、1971年にニクソンショックでドルの金本位制が停止。その後もドルの価値は下がり、1913年から比べると96%も下がった↓

トランプはルーズベルトと同じことをしない、とは限らない。
日本の貴金属回収例について、コーパイ↓
太平洋戦争中、日本政府は戦争遂行のために金属類の回収を進めました。1941年に施行された「金属類回収令」により、寺院の鐘や街灯、鉄製ポストなどが供出されました。この回収は「自発的な協力」とされましたが、実際には強制に近いもので、協力しないと「非国民」と見なされることもありました。
貴金属やダイヤモンドも供出の対象となり、政府が安い公定価格で買い上げました。ダイヤモンドは研磨や切削加工に使用され、プラチナ(白金)は航空機器の部品や電気式爆管(薬きょうの点火装置)に使われました1。供出の際には、町内会や隣組を通じて集められ、百貨店などで受付が行われましたが、受付時間の変更などで混乱が生じ、不満の声も上がっていました。
また、戦争末期には家庭の日常使用品まで供出の対象となり、鍋や弁当箱、水筒などのアルミ製品も回収されました。このような回収は、戦争遂行のために国民の生活を犠牲にする形で進められたのです。
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どの政府も、国民からカネを搾り取るのが仕事です。所得税しかり、消費税しかり、相続税しかり。金銀宝石も含まれます。
いまやカネだけでなくイノチまで搾り取る時代となりました。政府の背後にいる勢力が指図するからです。
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