この映画は数年前、「支配勢力による愚民化の結果をうまく描いた」として独立系メディアで話題になりました。
原題は Idiocracyです。分解すると, Idiot=馬鹿、白痴 + cracy=統治 となり、
つまり馬鹿による統治 ということです。
DVDを購入していましたのでご紹介します。
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本来、生物は進化と共に知能が高くなるはずだが、人間は違っていた↓
主人公登場。↓
国防省の図書館に司書として勤めるジョーは2005年、人間冬眠実験に使われることになった。
冬眠実験の目的は、優秀な人材を冷凍保存していざという時に使うこと。しかしジョー自身は知能も能力も全て平均、全くの実験台。
女性の実験台も探した。売春で前科ありのリタ↓
二人に、いよいよ実験が開始される。↓
その後、軍の不祥事が続き、部署が閉鎖。冬眠実験そのものも忘れられた。
二人は、500年冷凍保存されたのだ!
その間、社会も人類もどんどん知的に退化した。
ジョーは26世紀のある日、ゴミの山に埋もれた実験機械の中で目覚めた。
現在かいつなのかもわからず、ジョーは街をさまよう↓
アメリカなのに言葉が通じない。
ジョーは病院に迷い込んだ
飲み水はなく、スポーツドリンクのゲータレードしかない↓
医者も完全にイカレている↓
病院の窓から見ると、街がこうなっていた↓崩壊寸前の社会。
経済は崩壊寸前、人々も完全に愚民化。
くだらない映画を観て喜ぶ人達↓
この時代は人々はQRコードならぬタトゥーで身元をスキャンするが、スキャン不能でジョーは逮捕される。
裁判官もいいかげん↓
弁護士も馬鹿なため、ジョーはスキャン不能として刑が確定。
一方、リタも目覚めており、また売春をはじめていた。↓
刑務所でジョーは身分証明用のタトゥーをされる↓
その後ジョーは刑務所から脱走。
裁判の時の弁護士宅に逃げ込み、過去に戻りたいのでタイムマシンがあるかどうか聞く。
しかしその時、ジョーを逮捕しに警察が急襲。
逃げている時にリタを見つける↓
3人はコストコに逃げ込む↓(コストコはアメリカでは低所得層が買いに行く店)
そこではスターバックスも併設、コーヒー一杯200ドル(社会が崩壊する時は必ずハイパーインフレ)。
コストコで、手首のスキャンに引っかかりジョーは警察に見つかった。
その後ホワイトハウスへ連れていかれる。何故なら刑務所で受けた知能テストがずば抜けて高かったから(21世紀ではごく平均知能)↓
ホワイトハウスのお偉いさんたち(のはず)↓。しかし話題は「ヤル」ことばかり
そしてとうとう合衆国大統領登場↓プロレス選手兼元有名AV男優の経歴。
大統領演説の日↓
大統領は、知能の高いジョーを政権に登用することを発表。農作物不作の大問題を全てジョーが解決することを約束。もし解決できなかったらジョーは刑務所に戻されることに。
ジョーは弁護士をホワイトハウスに呼びつけ、タイムマシンに連れていくよう頼む。
作物不作のため、畑を視察に行ったジョーはリタを呼び出し、逃亡を相談↓
農作物問題は、水がないためゲータレードを畑にまいたのが原因。ゲータレードのブローンド社はFDAを買収していた(いかにもあり得る話)↓
食品全てがブローンドの管理下に置かれていた。
電解質が良いという触れ込みで乳幼児にも粉ミルクの代わりにゲータレードを飲ませていた。(最悪!)
ジョーはゲータレードに塩分が入っており、作物が絶滅するのはそれが原因と説明。
水を畑にまくように政策を変更。
しかしそのおかげでブローンド社の株価急落、国民の半分が同社に雇用されていたため、職を失った民衆が押し寄せる↓
ジョーは裁判にかけられ収監される。
刑務所に面会に来たリタに、ジョーは自分を置いてタイムマシンで逃げるように言う。
ジョーは競技場で公開リハビリという名の処刑にさせられる↓
しかしこの戦いでジョーは生き残る。
大観衆に、ジョーは自分の意図したこと(ゲータレードでなく水を畑に)を説明する↓ 職を失わせたのは申し訳ないが...
それも空しく、ジョーは焼かれそうになる↓
一方、その間に畑にまいた水のおかげで作物の芽が出たことがわかり、リタと弁護士は競技場の大画面に畑を映させるよう働く↓
大統領がジョーを救い出し恩赦を与える↓
名誉を回復したジョーに、リタは自分は21世紀に帰らず、ここに残って堅実に生きるつもりだと伝える。↓
そして大統領はジョーを副大統領にしようとする。ジョーは断ろうと考えるが、社会に問題が山積しており、その解決に人生をささげようと、26世紀に残ることを決意↓
やがてジョーは大統領に、そしてリタはファーストレディに。
3人の子供に恵まれたジョーとリタ↓
結末:ジョーは平均知能の持ち主だが、それにしてはよくやったのではないだろうか、というナレーションと共に終わる。
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もう当方の言いたいことがお分かりかもしれません。
映画では愚民たちは、圧倒的に語彙が不足していました。表現力や説明力が全く貧困でした。もうオウムの方がまだ単語を知っているのでは、というレベルです。
これは、21世紀の現在既に見受けられることです。若い人や大人の多くに、語彙不足があると思います。
何故でしょうか。
良い本を読まなくなったのと、学校や社会の愚民化工作のせいだと思われます。テレビや漫画、ゲームなどで時間を費やし、中身スカスカ紙面スカスカの小説(これも愚民化の一環です)しか読まなければ、言葉や語彙も減っていくのは当然です。特にゲームでは、「ウォーウォー」というような声しか入っていません。漫画も、ほとんどの場合簡単な会話しか文字として出てきませんし、絵がついていますから想像することが不必要となってしまいます。(もちろん良質の漫画もありますが)想像力は人間の大事な特質です。
語彙が少なければ理解力はもちろんのこと、概念や観念も貧困になります。極端な例ですが「自由」という言葉を知らなければ、その概念も分からなくなり、自由のない奴隷のような生活が当たり前、ということになってしまいます。
人間と動物の違いは何でしょうか。考えるという行動です。その行動は、言葉がなければ成立しないのです。
「水は低きに流れる」と言います。誰でも楽したい、笑って面白おかしく過ごしたい、という気持ちはあります。
しかし若い人には、26世紀青年にならないよう、なるべく愚民化前の昔の人が書いた本を読んで語彙と概念・観念を磨いてほしいと思います。
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