ネタニヤフの対イラン憎悪は父親の影響だった:トランプは専門家の意見を聞かずに戦争突入した。専門家嫌いの理由とは?(2026年3月30日公開)
- chibamai
- 2 日前
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昨日、ベンジャミン・ネタニヤフ首相のドキュメンタリー↑を見ましたが、多くの関係者にインタビューをした、優れた動画でした。Netanyahu at War (full documentary) | FRONTLINE - YouTube
ネタにとって、イランの壊滅が数十年来の悲願です。パレスチナやイランに対して、完全なる憎悪を持っていますが、その理由は超極右の大学教授の父親、ベンジオン・ネタニヤフ↓でした。

父親は歴史学とシオニズム思想の専門家ですが、余りにも極右なためイスラエルの大学教授の地位を追われ、1956年ベンジャミン7歳の時アメリカに移住します。
ベンジャミンは父親から、「我々ユダヤ人は歴史的に世界から疎まれてきた。周辺国もイスラエルをいずれ破滅させようとしている。何としても戦って生き残らなければいけない」というようなことを繰り返し子供たちに言い聞かせたそうです。そこから周辺国への憎悪が生まれたのです。
更に、イスラエルの特殊部隊兵士としてヒーローだった兄が、人質奪還作戦(1976年エンテベ空港、映画にもなった)で殉死したことで、ネタはますます極右となりました。パレスチナ制圧、イラン壊滅が人生の目標となりました。
動画では、ネタの歴代の米国大統領との関係を説明しており、共和党と民主党の政権が入れ替わり代る中、米の政策に翻弄されてきた姿が浮かび上がります。基本的に民主党、特にオバマとの関係は最悪でした。オバマはミドルネームがフセインというくらい、親イスラム教の大統領で、ネタにとっては悪夢でした。
トランプの大統領当選が、いかに周辺国をやっつけたいネタのようなイスラエル強硬派にとって、願ってもないチャンスだったかよく分かります。トランプ選挙陣営に一億ドルを寄付したのは米のユダヤ大富豪でした。最初からトランプは、今回の戦争にかつがれることが決まっていたように思います。
アメリカの軍事力と資金力なしには、イスラエルは生き残れないからです。
トランプはディープステートが嫌いなため、専門家の意見を聞かずに戦争突入した。
ディープステートとは、一部民間企業以外には主に政府機関・司法・諜報・軍・警察などを指しますが、それらの機関にはいわゆるホワイトハット(善良・良心派)もいます。当方がよく引用するラリー・ジョンソンは元CIAで、スコット・リッターは軍ですが、二人ともホワイトハットです。トランプは今まで、民主党系DSにウソのスキャンダル(ロシアと共謀しているなど)で攻撃されてきたため、DSが嫌いです。しかし専門家という存在は、DSに多いのです。
「イスラエル・ロビー」を著した、ジョン・ミアシャイマー教授のインタビューを文字起こしして編集しました。John Mearsheimer: "Iran Holds All the Cards" - The Strategic Defeat of the U.S. - YouTube
最後にひとつだけ考えておきたいことがある。
私たちは、よく「ディープステート」を批判するし、政治的左派・右派両方にDSを批判する人はいる。
しかし、国家が強大である理由、CIA や国防総省のような強力な組織が存在する理由、そしてロシアや中国などにも同様の組織がある理由は、膨大な専門知識が必要だからだ。
つまり、国家が複雑な問題に対処するには、多くの専門家が必要である。
たとえば、もし大統領が「イラクに侵攻する」と決めたとしても、大統領と数人の側近だけで実行できるものではない。
戦争には膨大な専門家が必要で、問題の分析から戦略の立案、実行まで、多くの知恵が求められる。ところが、トランプ大統領には、制度や官僚組織への敬意がまったくない。
彼はDSを「自分の敵」だと見なしており、最初の政権で彼らは自分に歯向かったと信じているから。
その結果、非常に興味深い状況が生まれた。
つまり、トランプは専門家に頼らず、スティーブ・ウィトコフ、ジャレッド・クシュナー、リンジー・グラハムといった人物(専門家ではない、親族や不動産業者や議員)に頼っていた。彼らは戦略家ではない。
外交政策や戦争と平和の問題を体系的に考えられるタイプの人々ではないのだ。
DSが存在する理由は、その内部に膨大な専門知識が蓄積されているからだ。
もちろん、DSを美化するつもりはないが、存在することの利点もあるのだ。
そして重要なのは、明らかにDSは今回の戦争がうまくいくとは考えていなかったし、むしろ反対していた可能性が高いということである。
統合参謀本部議長のケイン将軍の発言、国防総省の見解、国家情報会議の分析などを見れば、DSはこの作戦に非常に懐疑的だったことが明らか。
その懐疑には理由がある。軍事史の基本を理解している人なら誰でも、空爆だけで相手国の政権交代を実現できるという発想は幻想だと分かるからだ。
しかし今回は、DSは相談されず、専門知識をトランプに提供していない。
代わりにトランプは、自分自身を頼りにし(彼は自分を天才だと思っている)、頼るとしてもクシュナーやウィトコフ、グラハム、そしてメディア王ルパート・マードックやFOXニュースの人々などだった。
しかし、そんな人々に頼って戦争を始めるべきではない。戦争には専門家が必要で、徹底的に考え抜かなければならない。
戦争とは「予期せぬ結果の領域」であり、クラウゼヴィッツ(プロイセン王国の軍人・軍事理論家)が述べたように、戦争は巨大な賭けのようなものだからだ。
だからこそ戦争に勝つためには、賢い人々の批判的思考が必要なのだ。
しかしトランプの意思決定には、それがまったくなかった。さらに悪いことに、彼はイスラエル側の主張を鵜呑みにし、ネタニヤフ首相にまんまと乗せられてしまった。
そして今、私たちはこの状況に直面している。現在のうまく行っていない状況は予見可能だった。戦略の天才でなくても、何が起こるかは理解できたはず。DSも理解していたのだ。
もちろん、トランプが諜報機関や官僚組織を信用しなかった理由は理解できる。
1期目の「ロシアゲート」騒動があったからだ。しかしそれでも、国家運営には専門家が必要だ。そして、専門家を「不動産仲間」「家族」「メディア関係者」で置き換えられると考えるのは、まったく別の問題を生み出す。
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数週間内にイランへの地上侵攻になりそうです。しかし、ある指摘によるとホワイトハウスはすでに、戦争失敗すれば、ヘグセス国防長官をスケープゴートにしそうな雰囲気だそうです。
一番の被害者は何の罪もない庶民です。