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現代医療制度はアノ家系が始めた!

更新日:2022年9月6日



名著「ロックフェラーのシャーマンたち」

この本は1970年代に、カリフォルニア大学公衆衛生学の教授E・リチャード・ブラウンによって書かれました。

現在の医療制度の歴史を細かく辿った名著です。

Medicine menは、いわゆるシャーマンのことですが、医療界関係者という意味にもかけています。


まさしく現在展開している製薬カルテルと医療の癒着、儲け重視、患者軽視…


しかしこの本は陰謀論ではなく、あくまで中立な観点のものです。

当方の自費出版本で紹介しましたので、ここにアップします。


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「Rockefeller Medicine Men」の序文を見てみる。


「今日の医療システムの危機は、近代医学と企業資本主義の、複雑に絡み合った歴史に端を発している。我々が直面している危機の種をまいたのは、医療システムを形成した巨大グループやその勢力である。医学会と利益集団は医学というものを、それぞれ自分達の経済的・社会的利権の為に利用しようとしてきた。財団法人や企業組織が、自分達の資本主義的ニーズを医療システムを利用して満たそうとしたのである。」


ただこの本は日本のような国民皆保険がないアメリカの話であるため、日本の場合とは若干違っている。しかし日本の戦後医療システムはアメリカの影響を大きく受けているため、その歴史を知るという観点では重要だ。


「1700~1800年代、アメリカでは種々雑多な民間療法が共存していた。ハーブを使う治療法などが主流であり、治療者も収入や社会的地位は低く、一種の職人という存在だった。最新医学を研究するためにはアメリカの裕福な若者はスコットランドに渡らなければいけなかった。(のちに1870年代以降はドイツやオーストリアに留学する者が多かった。)

アメリカの最新医学はまだまだ発展途上だったのである。

アメリカではホメオパシーという「毒をもって毒を制す」療法が中心だった。この治療法はドイツ人医師が1700年代終わりに編み出したものである。


しかし1847年に米国医師会 (American Medical Association) が設立され、最新医学の治療者が増え始めた。1930年代には現代に相当する医療システムができあがり、ハーブ療法などの民間療法はシステムから除外され、ドクターの収入は一気に急増するようになったのだ。

この本では、カーネギーやロックフェラーという名前がポイントとなる。19世紀アメリカで産業の機械化で大富豪にのし上がった人々だ。19世紀後半から20世紀に貧富の差が広がり始め、彼らのような大富豪の偏った富のあり方は、社会批判を浴びることになった。結果、彼らは社会に収益を還元するための財団法人を設立するようになる。ロックフェラー財団の設立は1913年、カーネギー財団は1906年だ。これら組織は慈善事業団体(philanthropic institutions)とも呼ばれる。


ジョン・D・ロックフェラー1世


アンドリュー・カーネギー


このような財団は単なる弱者への寄付だけでは社会の問題―貧困や犯罪―が解決しないことを嫌というほど知っていた。必要なのは社会変革と判断し、そのために彼らは社会科学の研究を後押しするようになった。ハーヴァード大学などの伝統ある一流大学は早い段階から研究費として各企業からの献金を受け入れた。これにて企業側と学術側が、研究目的やそのプロセスにおいて一体化する土壌が出来上がったのである。


スタンダード石油の創立者、ジョン・D・ロックフェラー一世(1839-1937)はあまりに企業経営が多忙なため、財団の運営を人に任せることが殆どだった。フレデリック・ゲイツという元牧師が、ロックフェラーから資金や人員などを自由に任せられるようになった。そして後者の長男ジョン・ロックフェラー・二世(1874-1960)と共に、自由に財団の慈善事業の寄付・援助先を決めるようになった。そして大学や研究施設を科学重視、技術重視の方向に導いた。

医学が転換期を迎えたのは、1910年にカーネギー財団の後押しで「フレックスナー報告(Flexner Report)」が発表された時だ。



これがいわゆるフレックスナー報告

これにより、医学生や医者の数が徹底的に削減され、医師がエリートの職業とされることになったのである。

「同時に民間療法を社会から排除するために、それらを効き目の無い、いい加減なものとして医学界が攻撃することになった。特にその時代まだ主流であったホメオパシーの治療者がその標的となった。

しかし皮肉なことに、ロックフェラー一世自身はホメオパシーの信奉者だったのである。


最後のエピローグの結論は、

「(以下意訳)一部エリートなどの持つ経済的・政治的利権と関係なく、大衆社会のニーズを満たす医療システムを構築することは可能である。しかし資本主義社会でそれを実現することが可能かどうかは疑わしい。(中略)新しい医療システムを求めて奮闘すれば、それが公平な経済・社会秩序につながる大きな努力に寄与するのかもしれない。

It is possible to make a health care system that effectively serves the health needs of the majority classes rather than the economic and political interests of its providers and the upper classes. It is doubtful, however, that such a health care system can be realized in a capitalist society……….(中略)Nevertheless, the struggle for that new health system may contribute to the larger struggle for a new, more just economic and social order.」

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つまり、現在の段階では利権と医療システムが救いようがないほど絡み合っているため、

このままではどうしようもない、と言っているのです。


そして当方の小説では山崎悦子という女性と、薬局経営をする「先生」の会話が登場します。

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「山崎さん、あの本「Rockefeller medicine men」はなかなか面白かったですよ。アメリカだけでなく今の日本も健康保険制度が破たんしかけているし、病人もどんどん増えている。長寿社会と言いながら、一生薬を飲む人も多くいる、飲む必要がないのにですよ。その背景は製薬会社と結託した医学会ですよ。もちろん、医者各個人は立派な人も多いし、私も製薬会社にいたときそれは実感している。

しかしシステムが問題なんです。理想を言えば、あくまで理想ですが、病院や医者がいろんな治療法を使い分ければいいんです。例えば事故でのケガや手術は西洋医学。しかし腹痛だの風邪だのは東洋医学。経絡治療もおこなう。なんでもかんでも化学薬品で直そうとする発想を変えなきゃいけませんわな。ロックフェラーは石油王ですから、石油から作る化学薬品を重要視したんです。

あの本にあったように、医学と理系企業が完全に結びつき、巨大利権が誕生した。もはや患者はデータですわ、一人一人の貴重な生命ではありません。この前も申しましたが、生命と身体には見えないものが影響しているのに、科学科学といってそれを無視している。しかし科学は不完全な人間が作り出したものでのですから、完全ではないんです。そこのところが分かってないというか思い上がってしまっている。しかしロックフェラーがホメオパシー信奉者だったとは意外でしたな。」

「ホメオパシーってどんなんでしたっけ、先生?」

「端的に言うと、毒をもって毒を制す、です。例えば頭痛があるとする。それに対して、同じように頭痛を起こすレメディ、つまり自然の生薬を投与して、頭痛の元を追い出すんです。この療法はドイツ人の医者が18世紀に発見したということになっていますが、もっと昔からあったかもしれませんな、体系化されてなかっただけで。このレメディの作り方は面白いですよ。生薬ですが、植物や花のエキスをどんどん希釈して薄めるんですわ。」

「ホメオパシーは日本に入ってこなかったんでしょか?」

「大阪でやってる人がいるて聞いてますわ。アメリカでは一部の州ではホメオパシーによる治療を認めてるようですから、完全に潰された訳ではないようですな。」

悦子が問いかける。「日本の医療は戦後はアメリカに支配されたんでしょが、明治維新の頃はどうだったんでしょう」

「日本の西洋医学は元々ドイツやイギリスから導入されたんです。それまでは江戸時代は漢方中心、そして蘭学が研究されて手術を行うようになった。維新後の1883年、法律で、西洋医学を学んだ者しか医師免許が交付されないようになった。しかし漢方医は続けて営業することは一応認められたんですね。

しかし、いずれにしても日本でも早い段階で西洋医学中心の路線が引かれてしまったわけです。明治と昭和に何回か民間療法を禁止する法令も出ている。

あのロックフェラー本で「見えない手(unseen hand)」が魂胆を持って社会を導いている、みたいな記述がありましたな。全く日本もその通りです。

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これからも当ブログでは「見えない手」の動きを追求していきます。



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